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『時空の水』  平沢進

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時空の水 (1989年)
 
1. ハルディン・ホテル 
2. 魂のふる里 
3. コヨーテ 
4. ソーラ・レイ 
5. 仕事場はタブー 
6. デューン 
7. フローズン・ビーチ 
8. 時空の水 
9. スケルトン・コースト公園 
10. 金星 
 
1979年に結成されたバンドP-MODELは、1988年に“凍結”
という形で活動休止状態となりました。
そしてP-MODELの中心的人物であった平沢進は1989年に初の
ソロアルバムを出します。それがこの『時空の水』です。
③⑤⑥はP-MODELの未発表アルバム『モンスター』に収められるはず
だった曲をアレンジしたもの。
P-MODELの作品を全て聴いているわけではないのですが、テクノ
ポップと呼ばれたP-MODEL時代のサウンドとはまた趣の異なる
世界を作り出していると思います。
どの作品をとっても曲も詞も個性的でまさにヒラサワールドと表現
したくなります。
 
まず、1曲めの「ハルディン・ホテル」は汽笛の音から始まり、軽快な
パレードのリズムが繰り広げられます。ウキウキするようなサウンドとは
対照的に
♪アイリスが咲く長い雨の夜 祈るようにキミを探して街を駆けた・・・
といった切ない詞にホロっとなります。
そして、サビの♪トルヒーヨのハルディン トルヒーヨのハルディン
という掛け合いのところで師匠(平沢氏)が♪まで一緒にいきませんか?
とささやくところがヤバイです。なんて色っぽい!
うわさによると(?)「ハルディン・ホテル」というのは精神病院のこと
だそうですが、本当のところはよくわかりません。
でも、師匠自身が「ハルディン・ホテル」で待っているのはアイデンティティ
・クライシスだとツイッターでおっしゃっていたので、たぶんそうなのだろうと
思います。いかがわしいホテルに誘っている歌ではないですよ。
あ、ある意味いかがわしいですね。^^;
 
2曲目の「魂のふる里」はテクノポップとは程遠いような、師匠いわく
「ハートフルな」(笑)曲です。
♪おかえりなさい この森の日々へ・・・
という歌い出しからしてもう癒されますね~
テクノというと機械的で冷たいイメージがあったので、こういう曲を
歌われるとホロっと来ちゃいます。これは反則ですよ~
ただこの頃は高音があまり出し切れていないような気がします。
師匠は今のほうが高音がきれいに出ているように思います。
この曲You Tubeで探したら、かつてサントリーのCMに使われていた
ことがわかりました。
たぶん耳にしていたと思うのですが、全然記憶になかったです。^^;
 
3曲目の「コヨーテ」はコミカルな曲です。
日照りの続く村に水を求めてやってきたコヨーテの
運命やいかに・・・?
サビ部分では思わず ♪コヨーテ、コヨーテ!
と一緒に歌いたくなります。
それにしても師匠は100とか1000といった数字が好きですね~
百月とか百万とか、おおげさな表現をよく使います。
子どもが罪のないホラを吹いているような感じがして、
なんかカワイイです。
 
4曲目の「ソーラ・レイ」。これぞ平沢進節といったらいいのか。
なんともいえない魅力的な曲です。歌詞も面白いし、メロディも
面白い!どうして、こういう独創的な曲が書けるのでしょう。
「ソーラ・レイ」は文字通りは“太陽光線”という意味ですが、
詞のなかの“神秘のパルス”や“不思議な記号”といった表現から
何かもっと奥深いものを意味しているように思えます。
また、♪遥か地球の屋根から飛び立つインディオ
なんて、スケールが大きくて謎めいていてユニークな表現だな、って
思います。
平沢進の曲ではよく“宇宙”という壮大なモチーフが使われていると
思うのですが、そこに日常的な断片を忍び込ませることで詞により
面白みが増しているような気がします。
それから、♪持続的リズムは、喧騒のコロニーから・・・
と声を裏返して歌うところがすごく好きです♪ツボです。

 
5曲目の「仕事場はタブーだった」はタイトルからして?な曲
ですね。中味も本当にヘンテコリンな曲です。
この曲では師匠お得意のヨーデルが披露されているのですが
そのヨーデルに対抗しているのがなんと戸川純!!あの元祖
ふしぎちゃんです。
師匠の作品にけっこう参加しているんですよね。初め知った時は
ビックリでした。戸川純が師匠のファンだったらしいのですが、
師匠も“まんざらでもない”様子。^^
この曲を聴いていると「ヘンデルとグレーテル」や「ツルの恩返し」
といったおとぎ話を思わせます。
面白いのは ♪逃げども着さす 着さすと縫う・・・
の部分で“着さす”が有名な曲「キサス・キサス・キサス」と
オーバーラップするところ。ねらったのではないかと思います。^^
 
 
6曲目の「デューン」は不安定な音階がクセになる曲です。
そういえば映画化された『デューン~砂の惑星』というタイトルの
SF小説がありましたね。私は読んだことないのですが、SF好きな師匠は
そこからヒントを得たのでしょうか。
歌声は全然違うけどこの曲を聴くとなぜかケイト・ブッシュを思い起こさせます。
 
 
7曲目。高らかに始まる「フローズン・ビーチ」
この曲はP-MODEL名義のSCUBAというアルバム(カセット版)に収録されて
いたものをセルフカバー。
♪出会いの場所はそもこのフローズン・ビーチ
と歌い出すのですが、いったい何と何が出会ったのでしょう。
“凍った海岸”とはいったいどこにあるのでしょう。
師匠はまた
♪科学と祈りのはざま フローズン・ビーチ
と歌っています。
ここでまたテクノを引き合いに出してしまいますが、
テクノ、テクノロジーというと時代の最先端をいった技術=科学
だと思うのですが、そういった科学的なものだけを信奉するのでは
なく祈りといった非科学的なものも受け入れる科学至上主義でない
ところが平沢進のこの詞や他の詞、また数ヶ月前に寄稿された『現代
思想~imagoイマーゴ』での文章に表れている気がします。

 
フローズン・ビーチから波の寄せる音がそのまま流れるように8曲目
「時空の水」へとつながっていきます。
これが師匠?と思うくらい正統派(笑)の曲です。アコースティックギター
の美しい音色にほれぼれしてしまいます。
 
 
9曲目、「スケルトン・コースト公園」。この曲、めっちゃカッコイイです。
このタイトルになっているスケルトン・コーストという場所は実際にアフリカ
にある海岸だそうです。ときどき大きな波が押し寄せて、波にのまれて亡く
なった生き物の死骸が浜辺にあがるので、そう呼ばれているとか。
民謡調のアレンジで、ところどころ民謡歌手が参加して歌っている部分が
あります。
 
 
10曲目、キラーチューンの「金星」では平沢進の美声とアコギサウンドを
堪能できます。ああ、なんて優しい声で歌うのでしょう!
これは惚れますよ、あなた! 男も惚れる! 男女も惚れる!(笑)
 
リアルタイムで聴いていてもおかしくはなかったのに、なぜか当時の私の
アンテナにP-MODELも平沢進もひっかからなかったのが不思議です。
 
 
 
     
     平沢進 - ハルディン・ホテル LIVE

 
 この↑衣装がすごくカッコイイ!! 来年のハロウィーンはこれにしようかな?(^ΨΨ^)
 
 
注:いろいろと至らないところのある文章ですが、まだ馬の骨暦”2歩と半分”ゆえご容赦下さい。 ^^
 
 

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